生命倫理
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仏教の生命観と生命倫理
中野 東禅
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1991 年 1 巻 p. 156-164

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抄録
1.仏教における生命の見方は四大縁起と五蘊縁起,命根等にみることができる。2.生の始まりについては,胎内五位に,生命の終りについては寿・煖・識の消滅としてとらえられている。3.死に対する態度は,生命と死に対する智恵と,事実の受容と,迷いと恐怖を輪廻しない解脱が求められる。したがって脳死を死と認められるのも,臓器提供も智と解脱においてなりたつといえる。4.こだわりか,解脱かは,恐怖心や関わり方によって異ってくる。民俗仏教はこだわりを再生するが,仏教的視点を成り立たせる諸条件がそろえば,解脱としての脳死の受容,臓器提供はなりたちうるといえる。
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1991 日本生命倫理学会
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