抄録
近年、日本でも、進行癌の患者に病名を伝える事は行なわれるようになって来ているが、予後を説明する事についてはいまだ不十分であると考える。患者が希望を失うのを恐れ、不必要に隠したり、情報を修正して伝えていないだろうか。それでは、患者の知る権利を保障することにならない上、患者にとっての「良い死」を迎えるためにも支障になるのではなかろうか。私達は、進行肺癌患者に対し、当院に於ける10年間の生存曲線を使って、予後を説明する方法を開始している。この方法によって予後を知った事が、患者さんのQOLを高めたと考えられる症例にも遭遇した。生存曲線を用いて予後を説明する方法は、検討するに値する一方法と考えられる。