2001 年 11 巻 1 号 p. 91-96
近年、特にターミナルケアの分野で、スピリチュアルケアに関心が集まっている。「スピリチュアル」という概念が、わが国の文化や伝統の中で、どのように展開されていくのか、また患者の「スピリチュアリティ」を把握するために、日本での客観的な尺度を作成する必要があるなどの議論がなされている。しかしながら、それらの議論をより充実させるためには、まず、欧米のホスピスケア理念において、「スピリチュアル」という概念が、いかに展開されてきたのか、またどのようなスピリチュアルケアに関する研究がなされているのかを、改めて検討する必要があると考えられる。そこで本稿では、実際欧米では、ターミナルケアの領域を中心にして、どのようなスピリチュアルケアに関する研究が行われているのかを、文献を通して報告し、今後のわが国のスピリチュアルケア研究の一助とすることを目的とした。