日本では、人を生殖の手段として扱うことの倫理的問題性や妊娠・出産のリスクを懸念して、日本産科婦人科学会の会告で代理懐胎は禁止されている。しかし、現実にはこれを求めて海外へ渡る者もおり、また国内での実施例もみられる。米国カリフォルニア州(以下加州とする)では、代理懐胎が容認されており、代理懐胎の実施数も多い。そこで本稿では、日本の代理懐胎をめぐるこれまでの動きや考え方と、代理懐胎を合法化している米国加州の代理懐胎の現状を踏まえて、合法化した場合と禁止した場合の問題点と利点をあげ、合法化の是非を検討した。加州をみると、ビジネスとしての実施が多いため、女性の身体が道具化、商品化される懸念はあるが、代理懐胎の際のリスクや問題を避けるためのシステムが構築されてきている。代理懐胎を禁止しても、これがなくなることはないと思われ、かえって生まれてくる子どもや代理懐胎者を悪い環境におくことになる可能性もある。結論としては、日本も代理懐胎を容認し、どのような条件であれば代理懐胎の透明性と安全性を保てるのかを検討していくべきだと思われる。