2008 年 18 巻 1 号 p. 178-185
目的は大学生の解剖に対する意識調査から、遺族への説明と同意を検討することである。方法は自作の質問紙を用い、内容は解剖の認知度と情報源、解剖の説明と承諾、解剖に対するイメージ、解剖に関する説明などである。対象はA大学医学部、B大学歯学部、A大学法学部(経済学部、工学部等も含む)で開講している「法医学」の講義を受講開始した直後の学生とし、378名中338名(有効回答率89.4%)から回答を得た。結果として解剖前に求めている説明は解剖の必要性が上位で、解剖結果を知りたいという回答が8割を超えた。また、解剖に対する恐怖感・嫌悪感を持ちながらも、専門知識の蓄積や経験等による影響を受け、医学部・歯学部では医学的な視点、法学部では社会的な視点で解剖を捉えていた。以上より、診療関連死の死因究明時における解剖の説明と同意には、遺族の立場での分かりやすい説明の実施と、説明と同意のための手順を整備する必要性が示唆された。