生命倫理
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誰がARTを利用できるか : 性的マイノリティにおける家族の形の多様化の可能性
遠矢 和希
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2009 年 19 巻 1 号 p. 71-78

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抄録

ART(Assisted Reproductive Technology)を利用できる成人の法的制限について、諸外国では議論になっている。性的マイノリテイの家族形成権について欧米ではそれぞれに法的対応をとっており、ARTを利用した性的マイノリティの挙児・育児は盛んである。親のセクシャリティと子どもの発達に関する研究においては性的マイノリテイの育児には問題がないとする結論が多いが、多数派の価値観からマイノリティを判断する限界もあるという。一方わが国における性的マイノリティの状況と法制度を鑑みても、同性カップルがARTにより挙児・育児に至る可能性のあるパターンは5つある。欧米の性的マイノリティの家族形成権の法整備は(1)宗教的・文化的問題、(2)子どもの福祉や健全な発達の問題、(3)国際政治的問題などによって各国で判断されていると推察され、日本でのARTに関する法整備においても性的マイノリティへの視点が必要であると思われる。

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2009 日本生命倫理学会
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