2022 年 58 巻 4 号 p. 173-181
本研究では、日本で供用されているスローグローイングブロイラー鶏種(Slow種)に関する基礎的知見を得るために、Slow種を元にしたコマーシャル鶏を飼育し、体重、日増体重量に加え、脚の健全性や行動特性について評価した。さらに、解体成績を調査し、これらについて一般的なファストグローイングブロイラー品種(Fast種)と比較した。
その結果、Slow種はFast種に比べて、体重や日増体重量は有意に低いものの、歩様スコアや飛節の外反角度などは有意に低く、行動特性においても、移動や佇立時間が有意に長かった。また解体成績では、Slow種はFast種に比べて、胸部骨格筋重量が有意に軽かったものの、大腿骨乾燥重量が有意に重かった。これらのことから、Slow種はFast種よりも脚の健全性が良好に保たれており、本鶏種を利用することで、動物福祉により配慮した鶏肉生産が可能になることが示唆された。