2019 年 27 巻 2 号 p. 37-49
本報告では産業心理臨床におけるブリーフサイコセラピーの貢献可能性について検討した。職場不適応と抑うつに悩む,30歳代男性との8回の面接について紹介した。面接は,職場の問題や精神症状ではなく,職場以外での行動習慣の変容について焦点を当てて進められた。最後に,1)クライエントや職場の状況に応じてテーマを選択すること,2)治療的会話によりクライエントのリソースを生かすこと,3)産業心理臨床におけるブリーフサイコセラピーの貢献可能性の観点から考察をおこなった。