乳腺甲状腺超音波医学
Online ISSN : 2759-5013
Print ISSN : 2187-2880
原著
TILs乳癌の超音波像所見評価~定量的解析方法の検討
福井 佳与恵美 純子加納 昭子横山 枝杏華田中 真希子荒瀬 隆司笹田 伸介角舎 学行有廣 光司
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2025 年 14 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
【目的】腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocytes:TILs)が豊富な乳癌(Lymphocyte predominant breast cancer:LPBC)に特徴的なUS 所見は,小型分葉形,内部エコー極低,後方エコーは強い増強であることを報告してきた.しかし,US 所見は視覚的要素があり,その評価は客観性のある評価方法が求められる.乳癌の多くは内部不均一であり,エコーレベルにおいて内部低と極低の境界や後方増強と強い増強の境界は存在しない.今回それぞれのエコーレベルについて,画像診断ソフトウェア(ImageJ)を利用してエコーレベルを数値化し,TILs-US score を定量的に検討する.【対象と方法】2014年1月~2017年12月に浸潤性乳管癌と診断されたLPBC ( ≥ 50% stromal TILs)52例とnon-LPBC(< 50% stromal TILs)139例の191症例.エコーレベル評価はImageJ software(ij153-win-java8)を使用.グレースケール輝度値をdB へ換算補正.内部エコーは腫瘤内部と脂肪組織比,後方エコーは腫瘤後方とその同深度かつ同組織を選択して後方比を算出.LPBC 予測をImageJ で評価したスコア(TILs- ImageJ score)と従来のTILs-US score で比較した.【結果】内部および後方輝度比におけるLPBC 予測に関する解析により,内部カットオフ値は-12.03(AUC:0.726,p <0.001),後方カットオフ値は10.65(AUC: 0.795,p <0.001)であった.そのカットオフ値を用いて,ImageJ によるエコーレベル分類を行いTILs-US score と同様に評価しTILs- ImageJ score とした.TILs- ImageJ score によってLPBC を予測した結果TILs-US score と同じくLPBC で有意にscore は高く,カットオフ値は同じく4(AUC は0.848,p <0.001)であり,TILs-US score とTILs- ImageJ score の相関係数は0.959(p<0.001)と高かった.【結語】今回の検討で所見の視覚的な評価と数値化した定量的評価は同等であり,視覚的評価によるTILs-US score によるLPBC 評価が適正であったことが示唆された.
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