抄録
甲状腺癌のほとんどを占める乳頭癌の多くはその特徴的な超音波所見(形状不整,内部エコーレベル低,境界不明瞭,微細多発高エコーなど)から超音波検査で推定可能であるが,乳頭癌に特徴的な所見を全く示さない乳頭癌や良性腫瘍と区別が困難な乳頭癌もある.本稿では,超音波上良性にみえる乳頭癌(大濾胞型乳頭癌,嚢胞形成性乳頭癌,ハニカム型乳頭癌),およびかつて乳頭癌に分類されていた腫瘍(乳頭癌様核所見を伴う非浸潤性濾胞型腫瘍Noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features:NIFTP,篩状モルラ癌)に焦点を当てて,それらの疾患概念,超音波所見の特徴,鑑別のコツなどを解説する.