抄録
Pendred 症候群は,先天性あるいは小児期からの両側性高度感音性難聴と10歳以後に発症する甲状腺腫を合併する常染色体潜性(劣性)遺伝の疾患である.約80%の症例で内耳に前庭水管拡大という奇形を認める.両耳の前庭機能低下による反復性めまい発作,平衡障害を認めることもある.甲状腺腫はヨウ素の有機化の不全型障害により約1/3の症例で発症すると言われている.甲状腺機能正常の症例が多いが,一部の症例では甲状腺機能低下が認められる.
現在では,PDS 遺伝子による常染色体潜性(劣性)遺伝疾患であることがわかっており,本邦では約4,000人の希少疾患である.
本稿では,Pendred 症候群の甲状腺超音波画像の長期経過と臨床像について述べていきたい.