抄録
サイログロブリン遺伝子異常症は,TG 遺伝子の病的変異による遺伝性甲状腺疾患である.小児期のみではなく成人期となってから診断されることもある.成人例の多くは甲状腺機能異常ではなく,甲状腺腫大が診断の契機となることが多い.成人例の超音波像は,腺腫様甲状腺腫に伴うびまん性甲状腺腫と酷似している.やや特異な所見として,非結節部の血流シグナル増加,甲状腺最前面の直線化,結節周囲の線状高エコーを認める.また,thyroid stimulating hormone (TSH)抑制により甲状腺体積の縮小が得られる傾向を認め,TSH 抑制療法の効果判定としても超音波検査は有用である.