日本クリティカルケア看護学会誌
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原著
在宅療養に移行する植込型補助人工心臓患者および主介護者の体験と看護支援の検討
山中 源治
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2016 年 12 巻 3 号 p. 25-37

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抄録

 本研究は,植込型補助人工心臓(以下,VAD)患者と主介護者の在宅療養に関する苦悩・葛藤の体験,相互作用および退院前後の健康関連QOL(SF36)の推移を明らかにし,それを踏まえた看護支援を検討することを目的とした.質的調査と量的調査を並行して実施するMixed Methodを行った.質的調査は患者13名・主介護13名,量的調査は患者19名・主介護者10名を対象とし,入院中から初回退院12ヶ月までのデータ収集と分析を行った.その結果,患者は在宅療養に戻った後も身体機能の限界や合併症予防の課題を残し,さらに社会との調整に苦悩していた.主介護者は自宅に戻ってくる患者を,自己を犠牲にして苦悩を抱えながらケアしていた.退院前後の健康関連QOLに有意差はなく患者と主介護者の在宅療養の苦悩は反映されなかったが,複雑な課題を抱える者同士が何とかバランスを取り合いながら生活を送っていることが明らかになった.生活変化への適応を促すには患者・主介護者の主観的な苦悩・葛藤を理解し,術前から在宅療養を見据えた情報提供と患者・家族への教育が必要である.

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© 2016 日本クリティカルケア看護学会
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