日本クリティカルケア看護学会誌
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第13回日本クリティカルケア看護学会学術集会報告 会長講演
第13回日本クリティカルケア看護学会学術集会報告 教育講演
原著
  • 伊藤 真理, 秋元 典子
    2018 年 14 巻 p. 23-32
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル 認証あり
     本研究の目的は,食道切除再建術後の急性期にある食道がん患者が主体性を発揮していく過程を術前からの先行要因を含めて明らかにし,その主体性発揮を支える看護実践への示唆を得ることである.研究参加者15名を対象とし,参加観察および半構造化面接にてデータ収集し,Modified Grounded Theory Approach の手法を用いて分析した.
     結果,術後急性期の主体性発揮は,『"生"の取り戻しのために自分を前に進める』過程であり,術前から始まる『自分の足場をつくる』ことによって支えられていた.先行要因は,術前より【手術後を見据えて助走を始める】,または〔手術を決めた時から最高級客船に乗り込み医療者の舵取りに任せきる〕という2通りの過程であった.参加者は,術後急性期に【軸足をお任せから自分に移し息をするしかない・動くしかない】,【体の持ち主ならではの感覚を使いこなして息をしていく・動いていく】という姿で自分を前に進めていた.
     看護師は,過大侵襲手術後の過酷な状況でも患者が動作主は自分しかいないと覚悟し行動できるように,術前から準備を始める必要があると示唆された.
  • 玉田 章, 谷口 栞, 林 辰弥
    2018 年 14 巻 p. 67-76
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/09/03
    ジャーナル 認証あり

     深呼吸訓練の換気機能・呼吸筋力・呼吸抵抗に及ぼす効果について明らかにし,術後無気肺予防への有効性を検証した.18歳から22歳の健康女子を対象に,深呼吸訓練を行わない対照群(13名),深呼吸訓練を行う実験群(15名)の2群に分け,実験群は深呼吸を1セットにつき10回,1日4セットを10日間行った.両群ともに実験開始前と10日目に換気機能・呼吸筋力・呼吸抵抗を測定した.
     実験群のVC(Vital Capacity),FVC(Forced Vital Capacity)の有意な増加から,深呼吸訓練には呼吸訓練器具を用いた訓練と同等の効果があると認められた.また,VC・FVCの増加に加えて実験群のMEP(Maximal Expiratory Pressure)が有意に増加したことから,深呼吸訓練による自己排痰能力の向上が示唆された.呼吸抵抗については,全ての測定項目に有意な変化がなかったことから深呼吸訓練によるVCやFVCの増加は,肺組織(肺胞)の拡張によるものと推察された.

研究報告
  • 古賀 雄二, 茂呂 悦子, 有田 孝, 小幡 祐司, 川島 孝太, 雀地 洋平, 古厩 智美, 藤野 智子
    2018 年 14 巻 p. 47-56
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/06/02
    ジャーナル 認証あり

     適切な診療報酬請求を行う上で,せん妄患者の明確化は不可欠である.平成28年度診療報酬改定後のせん妄評価およびせん妄ケアの現状調査を行うことを研究目的として,「急性期に密度の高い医療を必要とする状態」の患者を多くケアするクリティカルケア看護専門団体(急性・重症患者看護専門看護師,集中ケア認定看護師,救急看護認定看護師)の全会員を対象に,平成28年度診療報酬改定後のせん妄評価・ケアの現状を調査した.Web式無記名式質問紙調査を行い,単純集計と質的記述的分析を行った.対象者数1,798人,回答率9.6%,有効回答率100%であった.周術期全体で継続的に妥当性・信頼性のあるせん妄評価は行われていなかった.診療報酬請求の適切性の向上のために,せん妄評価ツールの導入に加えて,ツール評価精度の維持が重要であり,学会等を通じた教育支援を行う必要がある.また,看護必要度を通した医療経済的・政策的なせん妄評価定着への支援は,多職種連携・チーム間連携が進むせん妄ケアの共通言語化を促し,患者ケアを推進する可能性がある.

  • 坂木 孝輔, 高島 尚美
    2018 年 14 巻 p. 57-65
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/08/07
    ジャーナル 認証あり

     本研究はICUにおける家族にとってのベッドサイドの写真の意味を明らかにし,看護介入としての写真活用の示唆を得ることを目的とした.ベッドサイドに写真を持参した重症患者の家族を対象に写真の意味について修正版グラウンデット・セオリー・アプローチを用いてデータ収集し分析した.
     その結果,家族にとっての写真の意味は,《日常の世界や家族との絆を繋ぎとめる証》《写真持参に伴う苦慮》《写真をきっかけにもたらされる哀しみ》《写真をきっかけにもたらされる喜び》《回復と回復支援への願いと危惧》の5つの局面が抽出された.
     写真は,家族の保証や接近のニーズを満たし予期悲嘆を促進させ,衝撃を受けている時には危機を助長させうる意味を持っていた.家族の危機の段階や家族システムによって異なる写真の意味を認識し,意図的に写真を用いることの重要性が示唆された.

  • 南堀 直之, 村井 嘉子
    2018 年 14 巻 p. 77-85
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/08/27
    ジャーナル 認証あり
     目的は,集中治療室における安静降圧療法を受ける急性大動脈解離患者に対する看護実践の構造を明らかにすることである.安静降圧療法を受ける急性大動脈解離患者を担当する看護師経験5年目以上の看護師10名を対象に,参加観察及び半構造化面接を行いグラウンデッド・セオリー・アプローチを用い質的帰納的に分析した.
     結果,7つのカテゴリー【悪化を未然に回避する】【痛みとその変化の原因を鑑別する】【潜在する精神症状の変化を探る】【自由に語る(話す)ことを保障する】【症状の緩和と改善を図る】【束縛された単調な状況に変化を与える】【今ある意味を説明する】は有機的な繋がりを持ち,『急性大動脈解離患者の急変のハイリスクに備えながら,患者の日常性の再構築を支援する』コアカテゴリーが導き出された.看護師は患者に寄り添い,また安静降圧療法が継続できるよう患者に届く言葉で状況の理解を促していく必要があると考えられる.
実践報告
  • 平松 八重子, 秋山 直美, 岩崎 賢一, 寺澤 雅美
    2018 年 14 巻 p. 33-38
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル 認証あり
     著者らはICU入室患者がより安全に経口摂取が開始できるよう,2006年に「A大学病院ICU摂食・嚥下評価表(以下,旧評価表)」を開発し,日本クリティカルケア看護学会誌(2011年)で報告した.本論文では,ICU看護師を対象に摂食・嚥下機能に関する教育を行うことで,「改訂版A大学病院ICU摂食・嚥下機能評価表(以下,改訂版評価表)」の評価精度が向上したので報告する.
     改定版評価表の本格的な運用の前に,改訂版評価表の内容に熟知している熟練看護師1名と,ICU配属歴5年未満の看護師11名を1名ずつ2名1組にした11組の評価の一致性を調査した.2名の評価が一致したのは11組中3組と低く,結果をふまえて部署内の教育体制を整えた.その後,109名の患者を対象として改訂版評価表の精度調査した結果では,改訂版評価表の感度は80.0%,特異度は96.2%と,旧評価表に比べて感度・特異度は大幅に向上した.部署内の教育体制を整えたことが寄与したと考える.
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