日本クリティカルケア看護学会誌
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最新号
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総説
  • 齋藤 克
    原稿種別: 総説
    2026 年22 巻 p. 49-61
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/29
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:集中治療を要する人工呼吸器装着患者が抱く恐怖体験に関する文献レビューを行い,その体験を構成する要素と背景を明らかにし,精神的ケアの示唆を得る.

    方法:PubMed,CINAHL,医学中央雑誌を用い,2015~2025年に発表された人工呼吸器装着患者の体験に関する質的研究を対象とした. 恐怖を抱いた体験の記述を抽出し,意味内容の類似性と背景に基づき構成要素を導出した.

    結果:18論文を分析し,恐怖を抱いた体験の構成要素は,【自分自身で身体をコントロールできない】【あいまいで非現実的な感覚】【人とのつながりの断絶】の3カテゴリとなった.これらは,自己・世界・他者との関係性のゆらぎを示した.

    結論:看護師は,患者の恐怖体験を単なる感情反応ではなく,その背景や意味を理解し,情報提供や非言語的関わりを通じて患者の安全感を高める精神的ケアを実践が求められる.

原著
  • 森島 千都子, 林 優子
    原稿種別: 原著
    2026 年22 巻 p. 12-25
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/07/09
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:ICUにおける頭蓋内病変を伴う重症患者の家族のレジリエンスを明らかにする.

    方法:半構造化面接を行い質的統合法(KJ法)で分析した.

    結果:【突然の発症によるICU入院時の思い:無理強いによる落ち込む気持ちの鼓舞】【潜在的な力への気づき:普通ではない状況に強固に耐えている自覚】【看護師からの心身への支援の感謝:自分と患者との繋がりが導かれる嬉しさ】【他からの支えによる心の安定:自分で対処できないときは他者からのサポートや先祖の見守りに縋る】【自らの行動による心の安定:患者を最優先とした生活と自己の労わりとの両立】【ICU退室の目途が立った時の思い:死を回避した患者と生きていく新生活への期待】【退院を視野に入れた思い:交差する辛い思いから患者の面倒を看る決心へ】が抽出された.

    結論:危機対処をしながら患者の回復を期待し,これまでの生活を諦め患者の面倒を看る決心への過程があった.

  • 山本 伊都子, 小原 泉, 中村 美鈴
    原稿種別: 原著
    2026 年22 巻 p. 36-48
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/20
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究はクリティカルケア看護における看護実践に対する困難を把握するための尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした.本尺度の信頼性と妥当性を検討するために予備調査と本調査を実施し,両調査の対象者は同じ条件を満たす特定集中治療室で働く看護師とした.仮の尺度項目を作成後,予備調査では探索的因子分析を行い,本調査では探索的因子分析の結果をモデル(仮説)とし,確証的因子分析にてモデルを検証した.予備調査201名,本調査561名の回答を解析対象とした.その結果,予備調査のデータから探索的因子分析により5因子19項目から成るモデルが生成された.本調査のデータからモデルを確証的因子分析で検証したところ,モデルの適合度の値から妥当性のある尺度であることの確証が得られた.信頼性に関しては,本研究の信頼性の判断基準(α係数0.80以上)を下回る結果となったことから引き続き検討していく必要がある.

  • 惣田 隆之亮, 城丸 瑞恵, 木村 恵美子
    原稿種別: 原著
    2026 年22 巻 p. 72-81
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    消化器外科病棟に勤務する中堅看護師が行う術後呼吸観察に関する思考を明らかにすることを目的に3施設5名の看護師に半構造化インタビューを実施した.分析の結果,75コード,13サブカテゴリーから5カテゴリーが生成された.【呼吸観察前から手術・麻酔侵襲による病態変化に伴う呼吸変化を危惧】し,【部署マニュアルに則した呼吸観察を考慮】していた.また,術後観察の結果を踏まえた次の対応に向けて【身体状況に応じた呼吸観察方法を判断】するとともに,観察のための限られた時間・状況において【優先順位を踏まえた急変時の呼吸観察方法を判断】することが語られた.さらに,【経験則がもたらす呼吸観察に関する見解】が見出された.本研究の結果,看護師は呼吸観察前に呼吸変化を予測し,部署マニュアルを活用しながら優先順位を考慮して呼吸観察方法を判断していたことが明らかとなった.これらの思考は,中堅看護師の経験を基盤としていた.

  • 大田 麻美, 田戸 朝美, 田口 裕紀子, 益田 美津美, 上澤 弘美, 嶋田 安希, 西村 祐枝, 石川 幸司
    原稿種別: 原著
    2026 年22 巻 p. 82-93
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,教育担当看護師が認識する所属病棟のクリティカルケアの実践および学習の実態を明らかにすることである.ICU,救命救急センターを有する医療機関に所属する教育担当者712名を対象にWeb調査を実施し,実践頻度・学習充足度・教育方法・教育において看護師が感じている困難についてデータを収集・分析した.日常的に実践されているケアでは学習も比較的充実していたが,敗血症対応や人工呼吸管理に加え,一般病棟での継続が重要とされるPICS予防についても,学習の不足や認識の低さが示された.困難としては,支援体制の不足や学習機会の限界,教育者の確保が難しいことなどが挙げられた.今後は,これらのケアに対応できる教育支援体制の整備が求められる.

研究報告
  • 大丸谷 純樹, 倉本 裕介, 南堀 直之, 谷田 明美
    原稿種別: 研究報告
    2026 年22 巻 p. 1-11
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/07/09
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は新型コロナウイルス感染症重症患者が退院後にどのような不安や困難さを抱えているのかを明らかにすることである。A病院COVID-19専門病棟の重症患者で治療が終了し退院または転院した者へ自記式質問調査を実施し,不安,困難さがあったと回答した7名に半構造化面接を行った。分析は面接内容から退院後の不安や困難さを表している内容を抽出しコード化し,サブカテゴリ化,カテゴリ化した。退院後に抱える不安や困難さとして【後遺症により普段通りの生活を送ることができない】【今後の健康状態への不安が増強する】【COVID-19に関して正しい情報が得られないことへの不安】【トラウマ体験による心理的反応が現れる】【罹患した自分が周囲に及ぼす悪影響を心配する】【社会との隔たりを感じ孤立を深める出来事に悩む】【再感染のリスクを恐れながらも社会生活を送らなければならない】の7のカテゴリが明らかとなった.

  • 小倉 久美子, 山田 聡子
    原稿種別: 研究報告
    2026 年22 巻 p. 26-35
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/07/23
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:研究者らが作成したアルゴリズムの構成内容の妥当性と使用容易性を検討する.

    方法:FGI[focus group interview]を手法とし,クリティカルケア専門家(急性・重症患者看護専門看護師,集中ケア認定看護師)の意見に基づくアルゴリズムの改変を方法とする質的分析を行った.

    結果:【血圧の数値化】【SpO2判定値の見解】【見当識促進・状況説明の具体化】【不穏状態判定と看護ケアの並列】等の意見が抽出された.クリティカルケア専門家の意見は,ガイドライン,文献を参考にアルゴリズムに反映する内容を見出した.

    結論:本アルゴリズムは,看護ケア実施の適切なタイミングを判断し,系統的に現実認識を促す看護ケアを実施することが特徴である.クリティカルケア専門家の現実的で適切な意見に基づきアルゴリズムの実現性が高まったと考える.

  • 石川 幸司, 牧野 夏子, 橋本 直弥, 小川 謙
    2026 年22 巻 p. 62-71
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/08/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】集中治療室において看護師が実践する調整の阻害要因を明らかにする.

    【方法】特定集中治療管理料1~6算定施設583施設を対象にWeb調査を実施した.治療環境9項目,患者・家族9項目の阻害要因(人的・物的・場所的・時間的・情報的)を複数選択での回答とした.スタッフ5項目は自由記述とし,内容分析を行った.欠測を除外した完全症例で分析を行った.

    【結果】327名が回答し,有効回答261名を分析した.治療環境および患者・家族の各9項目では,阻害要因として人的要因が最頻で,時間的・情報的要因が続き物的要因は少数であった.スタッフ調整の自由記述では,相互理解が得られないコミュニケーション,認識の相違,管理・連携体制の不備,価値観の相違などが抽出された.

    【結論】人的要因に加え,コミュニケーションの機会や管理体制を含む教育・組織的支援の必要性が示唆された.

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