日本クリティカルケア看護学会誌
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原著
  • 坂木 孝輔, 中村 美鈴
    2024 年 20 巻 p. 14-27
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:集中治療を要する急性重症患者とシナジーを起こす看護実践モデルを開発することである.
    方法:順次的探索的デザインの混合研究法で実施した.急性・重症患者看護専門看護師21名にFGIを実施し,結果をもとに,クリティカルケア領域の認定・専門看護師に質問票調査を実施し共分散構造分析で分析した.
    結果:開発したモデルは,【急性重症患者の内的世界との能動的な対話】,【急性重症患者との協働による段階的な回復促進】,【急性重症患者にとっての善行を実現する意思決定支援】,【急性重症患者との関わりを省察し後方病棟にも繋げる切れ目のないケア】,【急性重症患者の希望を尊重した柔軟かつタイムリーな調整】の5因子構造をもつモデルであった(CFI=0.86,GFI=0.76,AGFI=0.73,RMSEA=0.06,AIC=3681.83).【急性重症患者の内的世界との能動的な対話】は各因子に強く影響を与えており,シナジーを起こす看護実践のトリガーとなっていると示唆された.
研究報告
  • 内海 玲, 中村 美鈴
    2024 年 20 巻 p. 1-13
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/07/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,ICUと病棟看護師を対象とし,PICS予防に対する看護実践の重要度と実践度を明らかにすることである.全国の特定集中治療管理料1と2の病院に研究依頼をした.質問票は,PICS予防に対する看護実践を先行文献から抽出し,34項目の質問で構成した.5段階のリッカート方式を採用し,重要度と実践度それぞれに回答する無記名自己記入式とし,回答をもって同意を得た.回答は287名(27.4%)から得て,最終的に281部(有効回答97.9%)を分析対象とした.ICUと病棟看護師ともに引き継ぎによる情報共有と,患者と家族への情報提供に関連する質問項目の実践度が低得点となり,ICUと病棟間での看護実践の引き継ぎや,PICSに関する患者と家族への情報提供が行われていない実態が明らかとなった.ICUと病棟の双方において,情報共有ツール,パンフレット,ICU日記等を用いて情報共有や患者と家族への情報提供を行い,継続的に支援をしていく体制の整備がPICS予防を強化するために必要である.
  • 武藤 諒介, 工藤 由紀子, 菊地 由紀子
    2024 年 20 巻 p. 28-39
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/10/17
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:日本のICU看護師を対象に交替制勤務が心理的・身体的疲労およびバーンアウトに及ぼす影響を明らかにする.

    方法:2021年8月から11月.属性,勤務形態,自覚症しらべ,GHQ-12,日本版バーンアウト尺度を無記名自記式質問紙調査を用いて調査した.

    結果:合計334件の回答を得た.勤務前と勤務後の 「自覚症しらべ」の点数を比較すると,8時間交替(逆循環)のみで,日勤後よりも日勤前の疲労が増加していることが示された.

    バーンアウト尺度では,8時間交替(逆循環)は,「個人的達成感の低下」(OR = 4.79;95%CI:1.57,14.62)において有意に関連していた.

    結論:8時間交替(逆循環)は日勤前の高い身体的疲労やバーンアウト傾向を増加させるため,ICU看護師には推奨されないことが示唆された.もし,8時間交替(逆循環)を選択する場合には,日勤前の「不安定さ」を軽減するために,夜勤からの引継ぎ,勤務中の休憩,フォローアップに十分配慮する必要がある.

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