日本クリティカルケア看護学会誌
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原著
  • 武藤 諒介, 佐藤 多実子, 小野 南海子
    原稿種別: 原著
    2021 年 17 巻 p. 1-10
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル 認証あり

    【研究目的】A病院ICUにおける二交代制勤務の導入が看護師のバーンアウトの発生状況や職務満足度にどのような変化を及ぼすかを明らかにする.

    【研究方法】A病院のICUの看護師36名に,二交代制勤務を導入した前後における看護師のバーンアウトの発生状況や職務満足度の変化,属性との関連についてMann-WhitneyのU検定,Spearmanの順位相関分析を行った.

    【結果】バーンアウトのすべての下位尺度において有意な差はみられず,職務満足度のすべての因子で二交代制勤務導入後の値が有意に高かった.二交代制勤務導入後では『働きやすい労働環境』と年齢に中等度の負の相関(r=-0.50)を認め,全臨床経験年数に中等度の負の相関(r=-0.54)を認めた.

    【考察】ICUにおける二交代制勤務導入により職務満足度を高める可能性が示唆された.また,ICUにおける二交代制勤務導入を行ううえで経験年数の長い看護師への十分な説明や配慮を行う必要があると考える.

研究報告
  • 江㞍 晴美, 篠崎 惠美子
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 17 巻 p. 11-20
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル 認証あり

    【目的】PICS(post intensive care syndrome,集中治療後症候群)アセスメントツールを作成し,妥当性と信頼性の検証を行う.

    【方法】先行研究に基づき78項目の作成と構成を行った.内容妥当性の検証は,各項目を「妥当である」~「妥当でない」の4段階で評価を求めた.信頼性の検証は,4事例の患者情報用紙と動画を見てもらい,ツールを用いた評価を求めた.

    【結果】内容妥当性の検証では,項目の採用基準を満たさなかった項目は,「70歳以上」「ICU日記」など8項目であった.「ICU日記」を除く7項目を削除したツール全体の妥当性は0.902であった.この結果よりツールの修正を行い,50項目に対して評価者間信頼性の検討を行った.ツール全体のκ係数は0.58で,中程度の一致度が確認された.正確度および所要時間を考慮し,最終的に37項目に修正した.

    【結論】PICSアセスメントツールの内容妥当性と信頼性を確認でき,PICSを日常的にアセスメントできる可能性が示唆された.

  • 霜山 真, 佐藤 冨美子, 佐藤 菜保子
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 17 巻 p. 21-30
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル 認証あり

    【目的】在宅で非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)を受けている慢性呼吸不全患者の急性増悪とセルフケア能力の関連を明らかにする.

    【方法】在宅NPPVを受けている慢性呼吸不全患者を対象に,過去3カ月間の急性増悪の有無,急性増悪回数を診療録から収集し,セルフケア能力に関する質問紙調査を行った.急性増悪の有無による調査項目の比較はMann-WhitneyのU検定,χ2検定,急性増悪回数とセルフケア能力との関連はSpearmanの順位相関係数を用いた.

    【結果】対象31名の慢性呼吸不全の主な原因疾患は慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD) 13名(41.9%),肺胞低換気症候群10名(32.3%)であった.増悪経験群(8名)は増悪なし群(23名)に比べて,NPPV継続年数とセルフケア能力が有意に低かった.また,急性増悪回数とセルフケア能力には有意な負の相関があった.

    【考察】在宅NPPVを受けている慢性呼吸不全患者の急性増悪の経験とセルフケア能力の低下には関連があり,急性増悪経験のある者を対象としたセルフケア能力向上の支援を充実させる必要性が示唆された.

  • 竹下 智美, 清村 紀子, 竹中 隆一, 松成 修, 黒澤 慶子, 塚本 菜穂, 坂本 照夫, 重光 修
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 17 巻 p. 31-43
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル 認証あり

    【目的】本研究は,「人工呼吸器離脱に関する3学会合同プロトコル」(以下,「人工呼吸器離脱プロトコル」)の有効性を検証することを目的とする.

    【方法】介入研究(前後比較).介入群:2017年5~10月にA大学病院高度救命救急センターICU(以下,ICU)に入院し24時間以上人工呼吸療法を必要とした18歳以上の患者.コントロール群:2013~2017年の5~10月にICUに入院した介入群と同条件の患者.介入群に「人工呼吸器離脱プロトコル」を用いた介入を実施した.

    【結果】離脱の成功は介入群93.3%,コントロール群87.9%.人工呼吸器離脱時間の中央値(四分位範囲)は介入群2.0時間(1.5~24.7),コントロール群20.0時間(5.0~57.0),p=0.038と有意差を認めた.人工呼吸期間,ICU入室期間に統計学的有意差は認めなかった.

    【考察・結論】「人工呼吸器離脱プロトコル」の使用により,人工呼吸器離脱時間の有意な短縮を認めた.人工呼吸期間に差はなかった.安全性において2群に差はなく,有効な方法であることが示唆された.

  • 大山 祐介, 永田 明, 山勢 博彰
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 17 巻 p. 52-62
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/09/18
    ジャーナル 認証あり

    【目的】重症患者のcomfortを明らかにするために作成した「クリティカルケア看護におけるcomfort項目」の構成概念妥当性を検証する.

    【研究方法】急性・重症患者看護専門看護師,集中ケア認定看護師,救急看護認定看護師120名を対象にオンライン質問紙調査を行った.「クリティカルケア看護におけるcomfort項目」34項目は4段階のリッカート尺度で適切性が回答された.

    【結果】「クリティカルケア看護におけるcomfort項目」の得点は平均3.10~3.93であった.確認的因子分析により2因子構造(「患者の主観により評価するcomfort」と「看護師の観察により評価するcomfort」)が支持された.モデル適合は基準を満たし,潜在変数間のパス係数は.61であった.

    【結論】重症患者のcomfortで重視されたのは,「平静」「満足」「落ち着いた行動・睡眠」であった.「クリティカルケアにおけるcomfort項目」の各項目は重症患者にcomfortケアを提供するためのアセスメントの視点となる.

  • 増田 喜昭, 森 恵子
    原稿種別: 研究報告
    2021 年 17 巻 p. 69-79
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,高度医療機器を駆使したモニタリングのプロセスの中でクリティカルケア領域の達人看護師が大事にしている信念や態度について調査を行い,クリティカルケア看護におけるモニタリングの意味を明らかにすることを目的とした.急性・重症患者看護専門看護師5名に半構造化面接を実施し,Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析した結果,【患者の快適性を推測しながら複雑な事象を解釈する】【看護師-患者の相互作用がクリティカルな状況に立ち向かう力を引き出す】【全人的にとらえた患者との関係性の中で生きる道を見通し伴走する】など7 つの意味が明らかとなった.看護師-患者の関係性を構築する技術・態度と,看護師-患者の相互作用の結果は,クリティカルケア看護におけるケアリングの象徴の一つであり,クリティカルケア看護の卓越性を示す重要な要素であることが示唆された.

事例研究
  • ―集中治療室入室中の1事例から―
    松本 亜矢子, 辻 千芽
    原稿種別: 事例研究
    2021 年 17 巻 p. 44-51
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/06/29
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は,中毒性表皮壊死症を発症し全人的苦痛があった患者への集中治療室での看護過程を振り返り,患者の穏やかさを取り戻すことを可能にした実践知を明らかにすることである.患者への看護実践を振り返り文章化しデータとし,実践者である研究者間で内容を検討し,実践の意図に沿ってカテゴリを生成した.結果,3つの看護実践のカテゴリの枠組みに整理された.患者の病態が急激に進行するなかで,患者が身体的苦痛を主としたあらゆる苦痛が強くいらだつ時期には【全人的苦痛を察知・推察し緩和する】,病態が回復傾向となり患者が自分の状況や役割について不安に思う時期には【身体的回復と心理的変化を逃さず日常性を取り戻す】,わずかに目が見えるようになったことで気がかりがありながらも細かな意思表示ができるようになった時期には【患者の自律性を尊重する】という,看護師の患者を理解し時期を逃さず看護ケアを行うことが患者の穏やかさを取り戻す支援として見出された.

実践報告
  • 三木 珠美, 田中 博子
    原稿種別: 実践報告
    2021 年 17 巻 p. 63-68
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/11/18
    ジャーナル 認証あり

    【目的】学生が認識する急性期実習における看護過程演習の学びの有効性について明らかにし,そこから演習における授業改善への示唆を得ることである.

    【方法】A大学3年生82名に対し,膵臓がんの周術期患者の事例を用いた演習の知識の習得度を評価し,さらに演習における学びが実習で役立ったかどうかについてWebアンケートによる調査を実施した.

    【結果と考察】回答率は98%であり,演習の習得度では得点率が60%以上の学びが実習で役に立ったと回答した学生は8割以上であったことから,本演習は有効であったと考えられたため今後も継続していきたい.しかし,演習の得点が低かったアセスメントと実習後の調査で明らかとなった看護計画立案については,教授方法の改善が必要であり,根拠を踏まえた説明を行い,学生が腑に落ちる理解へとつながるような工夫が必要である.

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