日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
くも膜下出血患者のスパズム期における体験
─神経学的重症度grade Ⅰ - Ⅱに焦点を当てて─
竹山 美穂
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2017 年 13 巻 3 号 p. 83-92

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抄録
 本研究は,くも膜下出血患者のスパズム期における体験を明らかにすることを目的とした.神経学的重症度がgrade Ⅰ - Ⅱの破裂性脳動脈瘤術後の患者5名に対し,半構成的インタビューを行った.得られたデータは現象学的アプローチを参考に分析した.
 その結果,対象者のスパズム期の体験は何が起きたか【わからない】ことから始まり,脳血管攣縮によりいつ麻痺症状が起こるか【わからない】中,破裂部位と痛みの不一致感によって自分の身体ですら【わからない】状況となっていた.また,脳血管攣縮などを予防するための治療上の制限や「殺してくれ」という程の壮絶な痛みで【動けない】状況であった.さらに,考える力が停止し【考えられない】様子や【考えられない】自分の状態について考えるという俯瞰している様子を語っていた.一方で,自然に回復するのを待つだけでなく,【努力して徐々につかんだ回復の感覚】を得ていたことが明らかとなった.
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© 2017 日本クリティカルケア看護学会
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