抄録
2011年当時勤務していた石巻赤十字病院では,東日本大震災前より院内災害対応マニュアルを改訂し,実働訓練を繰り返し行い,また石巻地域災害医療実務担当者ネットワーク協議会を立ち上げ,外部組織との連携体制も構築していた.
東日本大震災では石巻医療圏は最大被災地となったが,同院は圏内86の医療施設のうちただ一つ100%機能を維持しえた中核医療施設であったため,現地医療救護活動の拠点本部となり様々な対応を行った.地域への医療救護活動としては,石巻の支援に入った全ての組織の救護チームを一元化した「石巻圏合同救護チーム」を立ち上げ,圏内に当初300か所以上あった避難所状況アセスメントを継続的に行い,石巻医療圏を14のエリアに分けて活動する「エリア・ライン制」を敷き,包括的な救護活動を展開した.
次の大災害へ備えるため,避難所アセスメントデータを集計する電子ツールの開発など,様々な取り組みを行っている.