2022 年 18 巻 p. 101-112
【目的】急性重症患者の終末期治療に対する代理意思決定支援の実践と影響する要因を明らかにし,今後の実践上の示唆を得る.
【方法】仮説検証型デザインで,全国3次救急医療機関の救急・集中治療領域の看護師に対し,郵送質問票調査を行った.組織的な要因,看護師の特性,救急・集中治療領域の終末期治療における代理意思決定支援実践尺度を用いてデータ収集し,統計学的手法で分析した.
【結果】質問票は689名(30.2%)より返送され,612名を対象とした.偏りのない姿勢と説明の確認に関する実践度が高く,上司や同僚からの知識の助言や精神的なサポートの頻度が実践に最も影響していた.
【考察】対象者は,俯瞰的な視点で家族とかかわり,上司の承認や関係性にもとづく発達により柔軟に対応したと考える.実践の質向上には,人的資源の不足や代理意思決定支援に関する情報共有の充実に課題があり,解決に資格保有者の役割発揮が示唆された.
【結論】実践には組織的な要因が影響し,仮説は立証された.質の向上には,資格保有者の役割発揮が示唆された.