抄録
本研究の目的は,ICUと病棟看護師を対象とし,PICS予防に対する看護実践の重要度と実践度を明らかにすることである.全国の特定集中治療管理料1と2の病院に研究依頼をした.質問票は,PICS予防に対する看護実践を先行文献から抽出し,34項目の質問で構成した.5段階のリッカート方式を採用し,重要度と実践度それぞれに回答する無記名自己記入式とし,回答をもって同意を得た.回答は287名(27.4%)から得て,最終的に281部(有効回答97.9%)を分析対象とした.ICUと病棟看護師ともに引き継ぎによる情報共有と,患者と家族への情報提供に関連する質問項目の実践度が低得点となり,ICUと病棟間での看護実践の引き継ぎや,PICSに関する患者と家族への情報提供が行われていない実態が明らかとなった.ICUと病棟の双方において,情報共有ツール,パンフレット,ICU日記等を用いて情報共有や患者と家族への情報提供を行い,継続的に支援をしていく体制の整備がPICS予防を強化するために必要である.