日本クリティカルケア看護学会誌
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原著
ICU看護師の終末期ケアにおける家族に対する看護援助
西村 夏代掛橋 千賀子
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キーワード: ICU看護師, 終末期ケア, 家族
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2012 年 8 巻 1 号 p. 29-39

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抄録

本研究は,ICUで働く看護師が家族に対して行っている終末期ケアの内容について,語りを通しその具体的内容を明確にすることを目的とした.対象となる看護師は臨床経験5年以上,ICU経験が3年以上でリーダー業務を行っている者とした.書面による研究同意が得られた20名に対し半構成的面接調査を実施し,質的帰納的手法により面接内容を分析した.その結果,ICUで死を迎える患者の家族に対して看護師が実践している終末期ケアは,【患者の現状認識ができるよう支援する】【危機的な心理状況をくみとり臨機応変に援助する】【意識の無い患者の側で過ごせるよう援助する】【短い関わりの中で積極的に関係づくりをする】【安心感を与える存在となり援助する】【ICUで迎える死を後悔しないよう支援する】【臨終を迎えるにふさわしい場に整える】【患者の尊厳を守る】【家族間の調整をする】【家族と医療者間の橋渡しをする】の10カテゴリーが抽出された.これらは,ICUにおける終末期ケアの困難性に臨機応変に対応し,様々に工夫されていることが明らかとなった.また,実践している終末期ケア内容を言語化し,明確にすることでICUでの終末期ケアを共有化する手掛かりを得た.

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© 2012 日本クリティカルケア看護学会
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