抄録
パラグラフライティング (以下PW) 指導において、談話モードの理解は重要である。本研究では、映画のストーリー性を利用したPW指導の可能性を探るため、学生のライティング指導において各談話モード (Narrative, Descriptionなど計6種類) に適合する映画の場面を抽出、サンプルエッセイ・表現リストなどを提示した上で学生にエッセイを作成させた。
その結果、パラグラフ構造・内容・論理の3項目において、PW指導後では84%の学生にライティング能力の向上が認められた (客観評価) 。また、PW指導後のエッセイを自己評価 (自己採点形式) させたところ、自己評価と客観評価との一致率は74%となっており、授業時に実施したアンケートにおいても、映画を用いることに対する肯定的な評価がみられる。
映画の場面提示の方法や下位成績グループの出現といった点において問題がみられるが、実践を通して、映画を用いたPW指導は学習への動機付けとなるばかりでなく、PWにおける談話モード理解をより促進できるということが明らかになった。