時事英語学研究
Online ISSN : 2187-0039
Print ISSN : 2186-1420
ISSN-L : 2187-0039
アメリカ社会に内在する他者-ドキュメンタリー映画『ノー・ディレクション・ホーム』に描かれるボブ・ディラン像の一解釈
花木 亨
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 2007 巻 46 号 p. 49-62

詳細
抄録

1960年代以来、フォーク・ロック歌手ボブ・ディランは同時代のアメリカ社会を鋭い感受性と批評精神で捉え、その独創的な詩と音楽の世界によって大衆を魅了し続けてきた。本論では、ディランの半生を描いたマーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー映画『ノー・ディレクション・ホーム』という文化的テクストを読み解くことで、現代アメリカ人たちにとってディランが持つ象徴的意味について考察する。はじめに、ボプ・ディランと『ノー・ディレクション・ホーム』を本考察の対象に選んだ理由を述べる。続いて、この映画に描かれるディラン像を簡単に吟味する。最後に、アメリカ社会に内在する他者としてのディランは、彼の生きる社会を内側から批評し、同時代のアメリカ人たちに自分を見っめなおす契機を与えてきたのではないかという一つの解釈を導き出す。

著者関連情報
© 日本メディア英語学会
前の記事 次の記事
feedback
Top