JACET中部支部紀要
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研究論文
日本人大学生英語学習者における読解習慣と英文読解力の関係
吉川 りさ梁 志鋭
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2016 年 14 巻 p. 35-50

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抄録
本研究の目的は、日本語母語英語学習者における勉学以外での英文読解量を測定し、英文読解力との関連を探ることである。本研究では、勉学以外の英文読解量を、内発的動機によって表面化された読解態度として捉え、読解量という客観的なデータに焦点を当 てることで、今日の日本人大学生の勉学以外の活字インプットの種類と頻度を探った。さらに日本文と英文の読解量に違いが見られるか調査した。研究参与者は日本の大学に通う日本語母語英語学習者60名であり、英文読解力として英文読解力と語彙力、文法力を測定した。読解量は、質問紙調査を通して、娯楽目的で読む書物と(電子)新聞を英語および日本語で読む量を測定したほか、ソーシャル・ネットワーク・サービスとインターネット使用時における英語あるいは日本語の使用度を測定した。分析の結果から、語彙力と文法力の向上が英文読解量の増加に貢献することが明らかになった。とりわけ語彙力の向上が読解量を説明する上で影響力の強い変数となった。日本文読解量においては英文読解量より多いことが明らかとなったが、英文読解量との関連性は見いだせられなかった。これらの結果と、関連先行研究の知見から、学生の語彙知識の多さが、学生の内発的動機づけの向上を高め、読解量の増加につながり、そしてその増加がさらに 読解力の向上に貢献する可能性を示唆した。また、この一連の流れは一方的ではなく、相互的な関係であると考えられる。
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© 2016 一般社団法人大学英語教育学会中部支部
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