日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
ピアサポーターの成長過程の特徴と育成支援者の役割(地域看護活動報告)
畷 素代
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2011 年 13 巻 2 号 p. 113-118

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抄録
目的:保健師が育成支援にあたっている思春期ピアサポーターの成長過程の特徴および育成支援者の役割を明らかにする.方法:ピアサポーター養成セミナーを修了した19〜20歳のピアサポーター12名を対象に,ピアサポート活動の経験前後において自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,一般性自己効力感(GSE)尺度16項目,自尊感情(SE)尺度10項目について評定を求めた.分析は,GSE・SE尺度を変数とした項目のクラスタ分析を行い,各クラスタ得点を経験前後で比較した.また,対象者を変数としたクラスタ分析を行い,類似した者同士をグループに分類した,さらに活動記録から,低得点群に属した2名のピアサポーターと育成支援者の対話を抽出し,理想とするピアサポーター像という観点から,各自の発言内容を時系列に整理した.結果:GSE・SE尺度の評定結果から【有能感】【自己期待】【自己肯定】【自己標準化】の4クラスタが抽出され,【自己期待】【自己肯定】において,経験前後でクラスタ得点に有意な差がみられた(p<0.01).また,対象者のクラスタ分析では,高得点群5名,中間群5名,低得点群2名の3グループに分類でき,経験前の【有能感】【自己期待】【自己標準化】において,グループ間に有意な差がみられた(p<0.01).さらに,理想とするピアサポーター像は,低得点群2名と育成支援者にはズレがあり,育成支援者は実践活動を通じて,2名のピアサポーターの理想像に変化をもたらしていた.考察:ピアサポーターの育成から活動支援まで一貫して関わる保健師は,住民との意識のズレを微調整しながら活動を発展させていく住民組織活動のノウハウを,思春期保健領域のピアサポートという活動においても応用できていると推察された.
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© 2011 一般社団法人 日本地域看護学会
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