日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
生活機能評価を受診した女性高齢者における自宅内転倒者の実態とその要因
土井 有羽子上野 昌江和泉 京子
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 16 巻 1 号 p. 4-11

詳細
抄録
目的:地域で生活する女性高齢者の自宅内再転倒の実態とその要因を明らかにし,要介護認定に至る原因のひとつである転倒を予防するための方策として住宅環境に着目した転倒予防の支援について検討する.方法:対象はA市生活機能評価受診女性のうち転倒経験があった1,706人中,要介護認定を受けていない1,562人である.方法は自記式質問紙調査であり,基本属性,再転倒の有無,再転倒場所,住宅環境・身体的・社会的項目を収集した.結果:全項目に有効回答の自宅内再転倒者100人と非再転倒者436人の比較を,カテゴリー変数はχ2検定,年齢はMann Whitney検定で行い,自宅内再転倒の有無と有意であった項目について多重ロジスティック回帰分析を行った結果,「一人暮らし(の有無)」(OR=1.67,95%CI=1.01-2.75),「邪魔になる家具(の有無)」(OR=2.74,CI=1.63-4.61),老研式活動能力指標下位尺度の「手段的自立得点(1点)」(OR=0.65,CI=0.49-0.86),「知的能動性得点(1点)」(OR=0.68,CI=0.52-0.88)が抽出された.結論:自宅内に邪魔になる家具があると本人が回答している場合は,自宅内再転倒リスクが高いと考えられ,従来の運動プログラムの提供に併せ,住宅環境の転倒リスクを把握できる住宅環境評価を実施する必要性が示唆された.
著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本地域看護学会
次の記事
feedback
Top