日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
高齢者のセルフ・ネグレクトに関する地域住民への教育プログラムの試みと有効性の評価 : エンパワメントを促すグループディスカッションの活用(地域看護活動報告)
久乗 エミ金谷 志子河野 あゆみ
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2013 年 16 巻 2 号 p. 32-38

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抄録
目的:研究目的は,高齢者見守り活動を行う地域住民に高齢者のセルフ・ネグレクトに関する理解を促す教育プログラムを実施し,その有効性を評価することである.方法:M市内のA地区(介入群23人),B地区(対照群27人)の地域住民50人を対象に本プログラムを実施した.本プログラム実施前と直後に高齢者のセルフ・ネグレクトに関する意識と態度について自記式質問紙調査を行った.結果:対象者の平均年齢は介入群63.3(SD11.9)歳,対照群63.3(SD10.9)歳であった.セルフ・ネグレクトの高齢者に対する受け入れ意識の平均得点は,介入群では5.9(SD4.8)点から4.0(SD3.1)点に減少し受け入れ意識が向上した(p=0.015).コミュニティ意識の平均得点は,介入群では32.1(SD6.0)点から35.9(SD5.4)点と上昇し地域社会に対する積極的や協同志向の意識が向上した(p=0.048).高齢者見守り活動のエンパワメントの平均得点は,介入群では40.9(SD13.2)点から46.2(SD12.1)点と上昇し見守り活動が個人のエンパワメントに及ぼす影響が大きかった(p=0.023).考察:本プログラムにより地域住民のセルフ・ネグレクトの高齢者に対する受け入れ意識,コミュニティ意識,高齢者見守り活動のエンパワメントを向上させ,高齢者のセルフ・ネグレクトに関する理解を促すことが示唆された.
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© 2013 一般社団法人 日本地域看護学会
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