日本地域看護学会誌
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病棟看護師が担う退院支援係の配置の有無と病院の特徴および退院支援への取り組み状況との関係
錦織 梨紗永田 智子水井 翠戸村 ひかり
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2016 年 19 巻 1 号 p. 72-79

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抄録

背景・目的:病院への退院支援部署の設置が普及しているが,それに加え,病棟に「退院支援係」をおき,病棟看護師の積極的な退院支援への関与を図る取り組みもみられる.そこで,退院支援部署と退院支援看護師の両方を有する病院を対象として,病棟看護師のなかに「退院支援係」を設けている病院の特徴と,係の配置による退院支援への取り組みの違いを把握することを目的とした.

方法:全国の100床以上の一般病院を対象とした質問紙調査のデータを利用した二次分析である.退院支援部署と退院支援看護師の両方を有する病院を対象とし,退院支援係を配置している病院とそうでない病院について,病院の属性と退院支援の実施状況を比較した.

結果:退院支援係を配置していたのは,468病院中213病院(45.5%)であった.がん診療拠点病院など高度な医療を行う病院で退院支援係の配置が多かった.退院支援係を配置している病院の方が,配置していない病院より,病棟看護師が「退院支援計画書の作成」「患者・家族が利用可能な社会資源・制度の探索と交渉」を実施している割合や,「入院後早期に,退院に向けた計画を検討するためのカンファレンスを行っている」「退院支援の手順を記したガイドラインやフローチャート等がある」などのシステムが整っている割合が有意に高かった.

考察:病棟への退院支援係の配置により,病棟看護師が退院支援へ積極的に関与している可能性が示唆された.

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© 2016 一般社団法人 日本地域看護学会
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