2016 年 19 巻 2 号 p. 22-30
目的:地域密着型サービス(以下,地域密着型)での看取りの促進を目的とした職員を対象とするフォーカスグループディスカッション(以下,FGD)により,看取りの経験と今後の課題を明らかにし,その解決策を検討する.
方法:対象は,A市の24か所の認知症対応型共同生活介護(グループホーム)および小規模多機能型居宅介護のうち研修への参加希望があった11事業所の職員18人である.研究デザインは質的記述的研究であり,FGDでの発言内容およびアンケートの記述部分をデータとして,Berelsonの内容分析の手法を用いて分析した.
結果:地域密着型での看取りの経験は,実践から導かれた【日常の延長線】【葛藤】【力量】【体制づくり】【意義】と,今後を見通した【課題】の6つのカテゴリーで構成された.【課題】には,≪事業所の体制・方針≫≪制度上の問題≫≪困難な医療との連携・協働体制≫≪死に対する教育不足≫≪看取りへの理解不足≫が挙げられた.
結論:地域密着型での看取りは【日常の延長線】上にあり,職員は【葛藤】を抱えながらも【力量】を備えて【体制づくり】を重ねて実践し,その【意義】を確認していた.【課題】の解決策には,連携できる医師との関係づくりなどが挙げられ,さらに,本研究で行ったFGDにより情報ネットワークが構築されることで,看取りの促進が期待された.