2017 年 20 巻 2 号 p. 87-94
目的:要支援高齢者における食品摂取多様性と食行動・食態度との関連を明らかにすることで,食品摂取多様性を向上させる支援を検討する.
方法:A市の要支援認定を受けた65歳以上の高齢者から無作為選定した1,000人を研究対象者とし,郵送法による自記式無記名調査を実施した.調査内容は基本属性,食品摂取多様性,食行動・食態度,抑うつ,生活空間,サービス利用状況等であった.分析対象者を食品摂取多様性スコアの合計得点の3点以下を低群,4点以上を高群と2群に分類し,基本属性,食行動・食態度を比較した.
結果:調査回答者は552人で,468人を分析対象者とした.食品摂取多様性スコアの平均(標準偏差)は2.4(2.0)点であり,低群の割合が73.9%(346人)と多かった.食行動・食態度の3側面のうち,食品摂取多様性スコアの低群が高群よりも社会的側面の平均得点(p=0.004)と総括的評価の平均得点(p<0.001)が有意に低かった.ほぼ毎日摂取する食品は牛乳,緑黄色野菜,果物の摂取割合が高く,肉,魚,いも類は摂取割合が低い傾向にあった.
結論:要支援高齢者において,食品摂取多様性は乏しい傾向があった.食品摂取多様性が乏しい者は食行動・食態度の社会的側面や食事満足度も低いことが明らかになった.今後,要支援高齢者の食品摂取多様性を高め,食生活の質向上に食を共有する場と食を介したソーシャルサポートが必要である.