日本地域看護学会誌
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Print ISSN : 1346-9657
研究報告
地域の健康課題を解決するための移住者と先住者の協働を推進する保健師の実践方法
渡邊 輝美小尾 栄子村松 照美
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2019 年 22 巻 3 号 p. 6-16

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抄録

目的:地域の健康課題を解決するための移住者と先住者の協働を推進する保健師の実践方法を明らかにすること.

方法:移住者と先住者が混在した別荘地であり,高齢者のなかの移住者の割合が大きい自治体において,地域の健康課題の解決のために移住者および先住者の協働を推進した保健師の実践事例を,研究対象事例とした.調査方法は保健師との面接である.調査内容は,実践の準備から現在までの保健師の実践過程である.保健師の実践過程を経時的に複数の「方法」で表し,これらの「方法」を,実践活動の内容の転換時を境として「段階」に区分して分析した.

結果:31年間の保健師の実践過程は,33の「用いた方法」と5つの「段階」で表された.5つの段階は,経時的な順序で,「A自治体内の高齢者の生活の定期的な把握」「地区組織で活動できる人材の発掘等」「地区組織に参加した者同士の関係の構築」「地区組織の活動の自立前における他者への働きかけへの支援」「地区組織の活動の自立後における他者への働きかけへの支援」として表された.

考察:結果の5つの段階を移住者と先住者の協働を推進する観点から一般化すると,保健師の実践過程は,4つの段階として「移住者と先住者に関わる地域の健康課題の明確化」「地域の健康課題の解決に向けての移住者と先住者からの人材の発掘,および,関係機関への協力要請」「地域の健康課題の解決に向けた核となる地区組織をつくるための移住者と先住者の関係の構築」「地域の健康課題の解決を共通目的とした移住者と先住者による他者への働きかけへの支援」で表された.

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© 2019 一般社団法人 日本地域看護学会
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