日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
小地域単位の住民主体による高齢者健康増進活動の評価 : 参加者の主観的効果を評価指標として
百瀬 由美子麻原 きよみ大久保 功子
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2001 年 3 巻 1 号 p. 46-51

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抄録
本研究は高齢者健康増進活動(福祉ひろば)の参加者の特性および参加者の視点から,その活動に参加したことによる効果の内容および構造を探求し,活動を評価することを目的とした.福祉ひろば活動参加者424名を対象に質問紙調査を行い,参加者の特性を検討した.また,福祉ひろば参加者が記述したドキュメント分析から導かれた主観的効果を示す評価指標の16項目すべてに回答の得られた178名について,効果の内容を記述統計により明らかにし,さらに効果の構造を検討するために探索的因子分析を行った.その結果,以下のことが明らかになった.(1)参加者の特性は,女性が男性の4倍を占め,70歳代が参加者の半数以上を占めていた.(2)16項目の効果のうち,最も回答数が高かったのは「楽しみが増えた」であり,次いで「人との会話が増えた」,「友だちが増えた」,「外出する機会が増えた」の順であった.(3)因子分析の結果,『自己認識の変容』,『社会関係の拡大』,『健康の増進』の3つの因子が抽出され,累積寄与率は61.3%であった.以上より,福祉ひろば活動はこのプログラムが閉じこもりと寝たきりを防ぐ可能性があり,高齢者にとっての楽しみを増やす場として機能していると考えられた.また本研究において用いた,参加者の主観的効果を示す評価指標は,コミュニティ中心の健康増進活動を評価する際の重要な手がかりになると考えられた.
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© 2001 一般社団法人 日本地域看護学会
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