抄録
目的:出産後から4か月までの間に母親に生じた育児上の不安とその解消方法,育児情報源について明らかにすることを目的とした.方法と対象:対象者はH県I市に居住する平成10年4〜6月の間に乳児健診に来所した母親274人であり,健診時に自記式質問紙を配布し,192人から回答を得た(有効回収率70.1%).主な質問項目は,出産後から産後1か月まで,産後1か月から産後4か月までの2時点における育児上の不安や心配事の大きさと内容および時期,不安の解消方法,主に利用している育児情報源である.結果:1)第1子母親は第2子以上母親よりも有意に不安が高く,育児に対する自信がなかった.不安は第1子母親では比較的早期に出現し,体や病気に関することと授乳に関することが多くあげられていた.また,第2子以上母親では産後3か月頃まで出現し,体や病気に関することのほか,特に上の子との関係に関することが多くあげられていた.2)不安や心配事は,第1子母親のほうが第2子以上母親より解決した人の割合が多かった.また,両者が不安解消のためにとった方法には異なりがみられた.3)育児に関する情報源として一番多く利用されているのは「人」であったが,その相手は第1子母親が「父母・義父母」,第2子母親は「友人」と異なっていた.次いで利用されていた育児書でも,第1子母親の6割以上が利用しているのに対し,第2子以上母親は3割程度の利用と差がみられた.結論:第1子母親と第2子以上母親に生じた育児上の不安とその解消方法,さらに利用している育児情報源には異なりがあることが明らかになった.初産の母親はもちろんのこと,すでに子をもつ母親についてもそれぞれに合った育児支援方法を検討していく必要があることが示唆された.