日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
ポジティブな心情を引き出す職員間コミュニケーションの要素とそのメンタルヘルスプロモーション上の意義
新納 美美錦戸 典子
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2006 年 8 巻 2 号 p. 5-13

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抄録
ポジティブな心情を引き出す職員間コミュニケーション(positive communication:PCom)の要素とそのメンタルヘルスプロモーション上の意義を明らかにすることを目的に,現役勤労者35人を対象に半構造化面接を行った.内容分析の結果,PComとして相手が示した行動は「職場での行動を肯定的に評価する態度を示してくれた」「仲間として対等で開放的に接してくれた」「職務遂行のために協力してくれた」「辛い立場や弱い気持ちを思いやり情緒的に支えてくれた」「立場や心情に配慮した言葉かけをしてくれた」「自分の働きかけに率直に応じてくれた」の6要素が抽出された.PCom体験の結果生じた感じ方としては「職場の人たちとのつながりを実感できた」「自分の行動が職場の動きや要求に沿っていると感じられた」「職場で気になっていたことが解け穏やかになれた」「今後に向けた職務に対する意欲をもてた」の4要素が抽出された.PComで相手が示した行動とその結果生じた感じ方との関連も検討された.結果から,PComはソーシャルサポートの実践様式の一つであり,メンタルヘルスプロモーションへの寄与が期待される職場体験と考えられた.PComが自然に体験できる組織風土を育成することがメンタルヘルスプロモーション活動として重要と考えられた.さらにPComには職務意欲や職務動機に関連する要素も含まれており,PComは健康職場モデルの実践的な資源となりうると考えられた.
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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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