日本地域看護学会誌
Online ISSN : 2432-0803
Print ISSN : 1346-9657
静岡県における胎児性アルコール症候群の予防のための保健事業の取り組みの実態
渡邊 輝美深江 久代今福 恵子福與 知恵
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キーワード: FAS, 予防, 妊婦, 保健師, 市町村
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2006 年 9 巻 1 号 p. 65-70

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抄録
目的:静岡県内の市町村における胎児性アルコール症候群(以下FASとする)の予防のための禁酒の取り組みの実態を明らかにし,FASの予防の方策を検討する.方法:調査対象は静岡県の市町村68カ所の母子保健担当保健師であり,郵送による質問紙調査を行った.調査内容はFASの予防活動の有無,FASの予防活動の未実施の理由,保健師が考える妊婦の禁酒の必要性などである.これらの調査内容から,FASの予防活動の実態を明らかにし,FASの予防活動の実施の有無と実施に影響すると考えられる要因との関連について分析した.結果:調査票の回収は49カ所(回収率67.1%)であった.すべての市町村でFASの予防は必要と認識されていたが,FASの予防活動の実施は約40%であった.FASの予防と限定せず,妊婦へ飲酒を控える教育をしている所は,約50%であった.市町村保健計画にFASの予防や妊婦の禁酒を取り入れている所は少なかった.FASの実施の有無とその実施に関連する要因間で分析をしたが,有意な差はみられなかった.結論:FASの実施の有無とその実施に関連する要因間で分析したが,有意な差はみられなかった.すべての市町村でFASの予防は必要と認識されていたが,FASの予防活動の実施は,約40%であった.禁酒は,禁煙ほど徹底して行われていないことや,地域の妊婦の飲酒の実態などが明らかになっていないことが,FASの予防や禁酒が推進できない理由と考えられた.
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© 2006 一般社団法人 日本地域看護学会
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