学術情報処理研究
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山口大学自己点検評価システム(YUSE) の開発と運用: 第1期中期目標期間及び第2期中期目標期間前半のまとめ
市川 哲彦小柏 香穂理鈴木 素之松元 隆博内藤 博夫
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2012 年 16 巻 1 号 p. 3-14

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抄録

現在,大学評価は学校教育法及び国立大学法人法により義務づけられており,大学運営では評価活動のためのPDCAサイクルが必須となっている.このサイクルは様々な観点に対して挙証データに基づく評価を行うため,基礎データの収集・分析が必須であり,情報システムによる効率的なサポートが必要不可欠である.そのため本学では,山口大学自己点検評価システム(YUSE)が導入されており,10年以上にわたり利用目的に合わせた改修を行いながら運用が行われてきた.本システム自体は,平成16年の国立大学法人化以前に,平成11年の大学設置基準の変更に伴う自己点検評価の義務化を背景として平成14年に導入されたものであり,現時点では,第2期中期計画(平成22年~平成27年)の前半の開発計画までほぼ終了した段階である.折しも,文部科学省から大学改革実行プランが平成24年6月に公表され,評価制度の抜本的な見直し及び大学情報の公開の徹底が求められ,今後はより総合的・戦略的なinstitutional research(IR)に対しての情報システムによるサポートを検討すべき時期に来ていると言える.本稿では,こうした今後の活動の基礎資料として,あるいは,他大学における大学評価支援システムとの比較材料として利用されることを期待して,基礎データの収集に加えて評価活動支援機能の開発が活発となった法人化後の動きを中心に,YUSEのこれまでの開発・運用の経緯をまとめて問題点の指摘を行う.さらに,同様なPDCAが要求される情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築経験とこれまでのYUSEの開発経緯とを比較して,PDCAサイクルの“見える化”や所謂“評価疲れ”等の課題について考察を行う.

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© 2012 学術情報処理研究編集委員会
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