コミュニティ政策
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自由投稿論文
地域自治組織の範域と代表性
―丹波市旧柏原町の自治協議会を事例として―
山本 素世
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2010 年 8 巻 p. 138-159

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抄録
新たな範域で地域自治組織が設立された際に、その範域が従来の住民組織と異なる場合、どの組織が住民を代表するのかは、住民の合意形成に関わる課題である。
丹波市では、合併後に旧町の範域ではなく小学校区での自治協議会の設立をすすめた。本稿で事例とする旧柏原町は、合併前に小学校区を範域とする地域自治組織のなかった地域であり、住民の活動範域の変化となった。本稿では、まず丹波市の特徴をとらえ、自治協議会を旧町ではなく、小学校区を範域とした理由を探った。また、従来からある自治会や自治会長会の範域の状況を確認した。次に、旧柏原町の2つの自治協議会について、活動や地域での位置づけについて検討し、一方は事業の執行機関として、他方は合意形成機関であり事業の執行機関であることを見いだした。
地域の住民代表性については、旧柏原町では、旧町を範域とする自治会長会が存しており、旧町全体の実体的な地域の合意形成機関である。しかし、一方の自治協議会においては、自治協議会が地域の実体的に合意形成機関となったため範域の不整合がおきていることを指摘したい。
本稿は、範域の問題は、総合計画の地区別計画など地域づくりを住民参加で考える際に、どの機関がその地域を代表するのか、にかかわる重要な課題であることを見いだした。
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