抄録
近年、日本の地域社会では市民の健康で安全な生活を脅かす空き缶・吸殻のポイ捨てや落書きといった環境美化の問題に対して、市民との協働により解決を試みる地方自治体が増加している。
地域社会の公共的問題を解決する際に市民が行政とともに大きく関わっているアメリカの協働型事業における市民と行政のとの関係性を解明し、日本の事例と比較研究するとは意義のあることと考える。このため本稿は、アメリカのフェニックス市が実施する落書き・違法広告物除去プログラムを事例として、同プログラムに参加する市民に対してアンケート及びインタビュー調査を実施した。
分析の結果、アメリカの地域社会における協働型事業は組織化された市民主導の団体と行政とにより協働が行われており、市民主導による団体は、行政が用意したプログラムと自らが目指すものが一致すれば、協働が起こりえるのであって、行政から言われたから協働しているわけではないことがわかった。