なぜ革命は発生するのか。革命の主体であるところの市民や反政府勢力に着目する先行研究では、フォーカルポイントの存在に要因を求め、それを特定する分析が蓄積されてきた。具体的には、選挙期間中や宗教イベント中などの革命が発生するタイミング、いわば「時間的なフォーカルポイント」を明らかにしてきた。その一方で、市民や反政府勢力が一斉に集合するためのロケーション、「空間的なフォーカルポイント」については、理論的な研究はほとんどされてこなかった。そこで本稿は、より具体的に、一度「革命」が試みられた場所は、それ以後の大衆動員において動員場所となる確率が高まるのか、またそれはなぜなのか、という問題意識のもと、「過去の革命で市民が集合した地点は、聖地化され、その後の革命においても市民が集合する地点となりやすい」という理論を提示する。そして、革命で集まったとされる地点を特定した新規データセットを構築し、それを用いたデータ分析と、フィリピンを事例に理論を検証する。