論文ID: b03.r101
内閣府の国際比較調査によると,日本人青年は諸外国に比べて将来に明るい希望が持てない割合が高いことが指摘されている。本研究では大学生140名を対象にWeb 調査を行い,将来の明るい希望の有無に関する理由を質的に分析した。その結果,6つのカテゴリが生成された。将来に明るい希望を持てる大学生と持てない大学生は,「目標の明確度」「目標達成の期待」「なんとかなりそう」という3つの特性の次元(高—低)により異なる体験をしていることが示された。「なんとかなりそう」という快調な気分・感情を伴う特性は,将来の目標に関わる2特性よりも,大学生の希望に影響力を有していると考えられた。また,社会と個人の相互作用という観点から,直接的には言語化されない何かが存在している可能性も示唆された。今後は,本研究から得られたカテゴリをもとに面接調査を進め,青年の希望理論を精緻化することが課題である。