公認心理師:実践と研究
Online ISSN : 2436-7524
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選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著論文
  • 小林 清香, 小貫 亜希子, 高野 公輔
    原稿種別: 原著論文(調査・実験研究)
    2026 年5 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病領域での心理職の業務を明らかにし,心理職がこの分野で直面する困難ややりがい,貢献可能性を整理した。慢性腎臓病領域で心理支援に携わる心理職41名から協力を得,アンケート調査を実施した。対象者の大半が100床以上の病院に勤務していた。慢性腎臓病領域にかけるエフォートは,常勤心理職で16.8%,非常勤心理職で44.6%と差が見られた。患者への直接支援では,「心理的安定を図ることを目的とした関わり」や「面接や行動観察によるアセスメント」が多く実施された。医療者への間接支援では,「患者についてのスタッフの理解を促進するための心理的助言・情報提供」「スタッフの関わりに対する助言」が多く行われていた。この領域で働くうえでの困難として,〈慢性腎臓病特有の難しさ〉や〈心理職の活動基盤が確立されていないための難しさ〉が挙げられた。やりがいとして,〈患者の人生に関わり,身体疾患の改善に寄与できること〉,〈チーム医療の一員として心理職の専門性を活かせること〉が挙げられた。今後は,心理職の教育体制の整備を図り,より包括的な心理支援を提供できる体制を構築していく必要がある。
  • 山田 美穂
    原稿種別: 原著論文(実践研究)
    2026 年5 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    心理専門職コンピテンシーは,公認心理師が身につけるべき機能や専門性およびその基盤となる資質や能力である。本研究では心理専門職養成におけるコアコンピテンシーに着目し,大学院生による主観的評価の変化からその獲得過程を検討し,養成教育への示唆を得ることを目的とした。学内実習機関における自閉スペクトラム症心理教育プログラムの大学院生スタッフを研究協力者として,コンピテンシー自己評価質問紙を4回,スタッフインタビューを2回行った。プロフェッショナリズム,反省的実践,関係性の3つのコアコンピテンシーに焦点を当てて量的・質的に分析した結果,大学院生スタッフは自信がない中でスタッフ役割を経験し,自分の成長にも気づいていくが,新たな課題に直面すると自己評価も上下に変動していた。反省的実践に取り組み,課題への対処をしながら経験を積む中で,支援を俯瞰的に捉えるプロフェッショナリズムを身につけ,クライエントや他のスタッフとの関係性を調整できるようになる過程が見いだされた。養成教育への示唆として,コンピテンシー概念の教示と共有,反省的実践のサポート,大学院生同士の支え合い,教員も含めたチーム実践を挙げた。
  • 蔵岡 智子
    原稿種別: 原著論文(展望研究)
    2026 年5 巻1 号 p. 27-36
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
    ジャーナル フリー
    本論では,心理支援における省察の展開をアドボカシー実践の観点から明らかにするとともに,批判的省察の教育について議論を整理し,今後望まれる教育・訓練を検討した。専門家養成における省察的実践は心理支援にも取り入れられ,基盤コンピテンシーの1 つとして位置づけられているが,アドボカシー実践においては権利擁護のために個人や既存の制度に対して働きかける際に,支援者自身もその環境に身を置いていることを自覚しながら,物事の前提や根本から問い直す批判的省察が必要となる。批判的省察の教育・訓練においては,支援者自身が社会的文脈に埋め込まれた存在であり,自らの特権性・周縁性を認識することが必要であるが,それを認識し是正し行動に移すことには困難が伴う。意識下の価値観や偏見に気づき,不快感を受け止め吟味し,社会的文脈の中の自己を認識するなど丁寧な学習が必要である。クライエントの人権を重視した心理支援のニーズが高まる中,批判的省察の教育・訓練の整備が望まれる。
資料論文
  • 香川 香
    原稿種別: 資料論文(調査・実験研究)
    2026 年5 巻1 号 p. 37-42
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,公認心理師の専門業務の実践力の自己評価と心理臨床経験年数,メンタルヘルス,ワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにすることを目的に,公認心理師有資格者を対象に,無記名式のweb 調査を実施した。回答のあった105 名のうち103 名を分析対象とした。心理臨床経験年数により,専門業務の実践力の認識に有意な差がみられ,経験年数が長い群ほど高い得点を示した。またメンタルヘルスについては,平均値に有意な群間差はみられなかったが,探索的な検討の結果,心理臨床経験年数1 年未満の群で,重症精神疾患相当とされる得点者の割合が有意に高かった。さらに,実践力の認識総合得点を算出し,上位25%と下位25%の2 群に分割して比較した結果,実践力高群は,ワーク・エンゲイジメントの3 下位尺度(活力・熱意・没頭)のすべてで有意に得点が高く,メンタルヘルスも有意に良好な傾向がみられた。これらの結果は,公認心理師の専門業務における実践力の自己評価が心理臨床経験の蓄積によって発達し,メンタルヘルスやワーク・エンゲイジメントといった心理的要因とも関連していることを示唆するものである。
  • 眞鍋 一水, 川尻 浩司, 小松 和浩, 茂木 太一
    原稿種別: 資料論文(実践研究)
    2026 年5 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,自衛隊員の援助要請意図の向上を企図した体験カウンセリングについて有効性を検証し,また,援助要請意図の向上と関連する体験カウンセリングの評価内容の検討を目的とした。ある基地の自衛隊員に対し,相談の有無にかかわらず,相談室やカウンセラーを紹介する目的で体験カウンセリングを提供した。実施前,実施後および1か月後にかけて,実施群46名と統制群48名の回答を収集した。強く気分が落ち込んだ際の援助要請意図を目的変数とし,線形混合モデルにより解析した結果,時点と群との交互作用項は,実施後と実施1か月後の両方が有意であり,体験カウンセリングの有効性が示された。また,実施群の回答だけを対象とした相関分析の結果,援助要請意図の変化には,カウンセラーが関心を示して話を聞いてくれたという評価や,体験カウンセリングの意図を理解できたという評価が,有意な正の相関を示した。本研究はランダム化比較試験を行っておらず,因果効果の検証は今後の課題であるが,援助要請意図の向上に対する体験カウンセリングの有効性と,向上に関連する評価内容を明らかにした研究であり,援助要請意図の向上を目的とした実践に資する意義があろう。
特別論文
  • 高橋 哲, 野村 れいか, 森 丈弓, 吉村 雅世, 新井 雅, 飯田 敏晴
    原稿種別: 特別論文
    2026 年5 巻1 号 p. 49-57
    発行日: 2026/07/01
    公開日: 2026/07/01
    [早期公開] 公開日: 2026/03/01
    ジャーナル フリー
    公認心理師による心理支援や研究活動の推進への示唆を得ることを目的に,日本公認心理師協会に所属する5分野の専門別委員会の委員8名を対象にインタビュー調査を実施した。具体的には,公認心理師の活動として十分な理解が得られていないと考えられる活動とその理由や背景,公認心理師の有用性を示すための研究に関する課題,職域拡大や増員に関する課題等について半構造化面接を実施し,得られた語りを検討した。その結果,要支援者以外の方への活動も含めた多岐にわたる業務の全体像がそもそも知られていないこと,身分の不安定さに起因する活動の制約が公認心理師の有用性を示す上での隘路となっていること,情報発信の不足や偏り,特定のアプローチに依拠しない日々の心理支援の効果に関する基礎データの不足,心理支援の効果に関する指標設定の困難さといった課題が抽出された。研究活動の推進のためには,業務統計に類する基礎データの全国的・系統的な集積の必要性,研究手法の多様化,現場の公認心理師が研究に着手しやすい体制整備等が指摘されていた。得られた結果をもとに,公認心理師による研究活動を推進するための具体的な提言を行った。
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