抄録
症例は39歳女性. 検診時胃カメラで食道前壁に瘻孔を認め, 当院紹介となる. 食道内視鏡で食道前壁に憩室を伴う瘻孔を認め, 気管支鏡にて気管膜様部に瘻孔を認めた. 胸部CTにて第2胸椎レベルで拡張した食道と気管に交通を認めた. 以前より経口摂取時にむせやすく小児期に肺炎を繰り返していたことより先天性食道気管瘻と診断し, 開胸下に瘻管離断術を施行した. 術後1年を経過した現在, 自覚症状は消失しており再開通の所見は認めていない. 成人期発見の先天性食道気管瘻は稀であり文献的考察を加え報告する.