抄録
ホルモン療法に抗し再発を来した月経随伴性気胸に対し, 外科的治療が奏効した1例を経験したので報告する.
症例は45歳の女性. 右気胸の診断で胸腔ドレナージを施行されたが, 改善傾向なく当科へ紹介入院となった. 月経周期に一致する発症を繰り返していたため月経随伴性気胸と診断し, LHRHアゴニストによるホルモン療法を開始した. 一時, 気胸は改善したが, その後の月経停止にもかかわらず3ヵ月目に再発を認めたため, 保存的治療の限界と考え胸腔鏡補助下に手術を施行した. 横隔膜に2ヵ所の小孔と菲薄部を認め, 同部を切除縫縮した. 術後はホルモン療法を中止しているが, 1年2ヵ月後の現在まで気胸の再発は認めていない. 2000年以降, 自験例を含む本邦報告例45例の検討においても右側発症症例は全例に横隔膜病変が指摘されており, 胸腔鏡補助下手術を第一選択とすべきと考えられる.