抄録
目的: 開窓術後の慢性膿胸症例に対する, 単純創閉鎖術の妥当性につき検討した.対象と方法: 2000年〜2004年の約4年間に, 開窓術後の慢性膿胸症例で, 1例を除き従来の腔縮小術の手術侵襲が過大であると判断し, 単純創閉鎖術を施行した7症例を対象とし検討した.結果: 手術時間は平均49±33分, 術中出血量は平均32±69ml, 術後入院期間は平均21±5.8日であった.膿胸再発は1例認めたが, その後腔縮小術を行い治癒した.結語: 開窓術後の慢性膿胸に対する単純創閉鎖術は低侵襲であり, また手術成績も概ね良好であった.細菌培養陰性でかつ気管支肺胞瘻がないか少数である症例で, 全身状態不良の症例についてはよい適応であると考えられた.また単純創閉鎖術の低侵襲性, 安全性, 美容的観点などの利点を考慮すると, 腔縮小術に耐えうる全身状態良好な症例にも適応があると思われる.