抄録
症例は52歳,女性.以前より月経時に軽度胸部違和感を認めるも放置していた.人間ドックの胸部レントゲン検査上右気胸を指摘され,当科紹介受診.CT上明らかなBulla,blebを認めなかったため,月経随伴性気胸を強く疑い,診断目的にて予定月経日の翌日に胸腔鏡下手術を行った.胸腔内には血清胸水が貯留し,横隔膜には径5mmの篩孔を5個認めた.肺実質には明らかな病変を認めず,月経随伴性気胸を疑い自動縫合器を用いて篩孔を含めた横隔膜部分切除を行った.病理標本では,横隔膜内に上皮様組織を認め,免疫染色にてエストロゲンレセプター陽性であり月経随伴性気胸と診断した.術後ホルモン療法の併用は行っていないが,現在術後1年3ヵ月無再発である.50歳を超えた月経随伴性気胸は稀であるが,問診から本疾患を類推することは非常に重要である.