日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
中葉原発非小細胞肺癌におけるリンパ節郭清
転移範囲の解析と上葉気管支周囲リンパ節(#12u)郭清の適否
松井 啓夫佐藤 之俊稲垣 智也稲垣 卓也奥村 栄中川 健
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2006 年 20 巻 6 号 p. 811-818

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抄録
中葉からのリンパ流は,通常分岐部を経由し上縦隔へ向かうものが主体だが,上葉気管支周囲リンパ節(#12u)を経由し上縦隔へ向かうとの報告もある.当院では,中葉原発非小細胞肺癌(NSCLC)切除時に標準郭清(ND2a)に加え#12u郭清を選択的に行っているが,その意義は不明であり,その適否を検討した.対象は,1980年~2004年までに完全切除施行の中葉原発NSCLC133例のうち,多発肺癌を除くND2aを行った86例(#12u郭清/非郭清:47/39例).リンパ節転移率は,N0/N1/N2:76/9/15%.#12u転移はN2症例2例のみで,多領域リンパ節転移を伴い予後不良であった.5生率は,#12u郭清/非郭清で68/78%であり有意差を認めなかった(P=0.32).再発は25例(29%)に認め,#12u郭清群に有意に多かったが(P=0.001),#12uの局所再発は認めなかった.以上より,中葉原発NSCLCにおいて#12u郭清の効果は明らかでなく,意義はないものと考えられた.
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