2009 年 23 巻 7 号 p. 932-935
われわれは,肺癌を疑って胸腔鏡下区域切除術を行い,結果的にpulmonary capillary hemangiomaと診断された1例を経験した.症例は55歳の男性で健康診断の胸部CTで淡い結節を指摘され,経過観察された.陰影は縮小せず,肺癌の疑いで紹介され診断的手術を行った.部分切除術は困難であり,胸腔鏡下区域切除術を行ったが,病理診断はpulmonary capillary hemangiomaであった.本疾患はCT上小型肺癌との鑑別が困難とされている.部分切除術では切除困難な良性病変に対して切除を行う場合,胸腔鏡下区域切除術は有用であると考えられた.