日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
急速な増大を示した肺原発滑膜肉腫の1切除例
井坂 光宏中川 加寿夫最相 晋輔大出 泰久奥村 武弘近藤 晴彦
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2009 年 23 巻 7 号 p. 981-985

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抄録
症例は59歳女性.主訴は背部痛.左下葉に4ヵ月で急速に増大する腫瘤を認めた.気管支鏡下穿刺細胞診にて紡錘形細胞主体の悪性腫瘍と診断された.転移性腫瘍も念頭におき,PET等全身検索行ったが,他に異常所見はなかった.稀な組織型と考えられる原発性肺癌(cT2N0M0 stage IB)と診断し手術を施行した.組織学的所見では紡錘形細胞が高い細胞密度で存在し,免疫染色ではEMA,vimentin,bc1-2が強陽性を示していた.パラフィン切片からのFISHにてSYT遺伝子の転座も証明され,滑膜肉腫と診断した.軟部組織など他に原発腫瘍は存在せず,肺原発滑膜肉腫と診断した.この腫瘍の多くは四肢の大関節近傍に発生し,肺原発は極めて稀である.
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