日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
生検後に急速増大を認めた肋骨原発軟骨肉腫の1手術例
矢内 洋次金田 浩由紀馬庭 知弘南 健一郎權 雅憲齊藤 幸人
著者情報
キーワード: 軟骨肉腫, 肋骨腫瘍
ジャーナル フリー

2011 年 25 巻 1 号 p. 025-030

詳細
抄録
症例は67歳,男性.右前胸部の徐々に増大する腫瘤を主訴に来院した.右前胸部に直径80mm弾性硬の腫瘤を触知した.来院時胸部CTでは,右第9肋骨を中心に最大径70mmの骨破壊を伴う多房性嚢胞性の腫瘤を胸壁に認め,胸・腹腔内に突出していた.切開生検では,腫瘤内に粘稠度の高い液体が存在し,組織診・細胞診にて軟骨肉腫(Grade 1~2)と診断された.切開生検18日後のCTにて腫瘤は最大径73mmと明らかな増大を認めた.手術は,腫瘍と腫瘍からそれぞれ約2cmの距離をとって第8・9肋骨・横隔膜とともに広範囲胸壁合併切除し,メッシュを用いて胸壁再建を施行した.術後12ヵ月現在,再発の兆候を認めていない.切開生検後に急速増大を来たした1例を経験した.軟骨肉腫の治療では,生検の後に可能な限り早期の広範切除が重要と考えられた.
著者関連情報
© 2011 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top