日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
限局型小細胞肺癌治療5年後に対側非小細胞肺癌が発生し治癒切除しえた1例
藤原 俊哉岡田 剛小谷 一敏松浦 求樹
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2013 年 27 巻 1 号 p. 74-78

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抄録
今回,LD-SCLCに対し,化学療法と胸部放射線療法の同時併用にてCRとなり5年経過した後,対側肺に非小細胞肺癌が発生し治癒切除しえた症例を経験したので報告する.
症例は63歳,男性.LD-SCLC(cT2N1N0 stage IIB)に対し放射線化学療法を行った.画像上CRとなり,予防的全脳照射を行った.治療後5年目のCTで治療部位に再発所見は認めなかったが,対側肺に16 mm大の充実性結節が出現し,PETで同部にFDGの異常集積を認めた.肺癌の疑いで手術の方針とした.術中針生検にて扁平上皮癌と診断されたため,胸腔鏡補助下左底区域切除およびリンパ節郭清を施行した.術後診断はpT1aN0M0 stage IAであった.術後2年経過し,無再発,経過観察中である.
小細胞肺癌治療後の長期生存例の中には,新たな肺癌が発生する可能性があり注意深い観察が必要であると考えられた.
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