2013 年 27 巻 2 号 p. 136-140
食物誤嚥は気道異物の原因の中でも高い割合を占める.他の気道異物と比較して,①X線検査での確定診断が困難,②構造が脆弱で細片化しやすく,摘出が困難,といった点に特徴がある.気道内食物異物の診断・治療について我々の症例をまとめ考察した.2000年1月~2011年10月までに経験した気道異物9例のうち,食物異物6例.内訳は小児4例,成人2例で,原因となる食物は豆類が5例,肉片が1例であった.あらかじめ標準化された手順のもと,全例が全身麻酔下に異物摘出処置を受けた.3例が軟性気管支鏡下,3例が硬性気管支鏡下で施行され,摘出処置に起因する重篤な合併症の発生はみられなかった.気道インターベンションは複雑で多様性に富み,かつ危険を伴う外科処置であるが,他科の協力を含む手順の標準化(プロトコール化)により安全な施行が可能となると考えられた.