抄録
両側後縦隔髄外造血巣の1例を経験したので報告する.症例は60歳代男性.出血性胃潰瘍にて入院中に偶然胸部X線で異常陰影を指摘され,胸部CT, MRIにて両側後縦隔の傍椎体部に脂肪成分を含む腫瘤を認めた.腫瘤の診断治療目的に右側の腫瘤に対して摘出手術を施行した.腫瘤は非常に脆弱で易出血性であった.腫瘤は病理学的に髄外造血巣と診断された.左側の腫瘤については,骨髄シンチである111Inシンチグラフィを行い腫瘤に一致した集積を認め髄外造血巣と診断した.脂肪成分を含む後縦隔腫瘍を認めた際は髄外造血巣の可能性も念頭に入れるべきである.111Inシンチグラフィを用いることで診断が可能であり,不必要な手術を回避することが可能である.